
ユングと立体マンダラ
深層心理学者(分析心理学)のユング(1875~1961)は、絵のマンダラだけではなく石による立体マンダラをつくっている。
母親の死後から33年かけて1956年に完成させた石の塔による立体マンダラである。
ユングは1922年、47歳のときスイスのチューリッヒ湖畔に土地を買い石を積んで城のような建物をつくり始めた。
翌年母親が亡くなり、石で円形の塔(右上)をつくった。
その後、建て増しをして(右下)、次に1935年に妻エンマの塔(左下の中央)が完成した。
1955年に妻が亡くなった後に、妻と母親の塔の真ん中に自分の塔をつくった(左上)。
母や妻のおかげで自分が精神的に成長し、自己が完成できたことを表している。
ユングは、立体マンダラも自分の意識の中に、人類に普遍的な集合的無意識があらわれて創られると解釈した。
内的な世界が調和して全体性があらわれて、真の自己(セルフ)、精神世界が完成し、個性化ができたことを示しているのである。
日本では真言密教の空海(774~835)が804年に遣唐使として唐にわたり、翌年恵果から伝法灌頂を授かり、『大日経』『金剛頂経』など多くの経典とともに胎蔵曼荼羅と金剛界曼荼羅などを持ち帰った。
818年、高野山にのぼり開創する。
823年に空海は嵯峨天皇から京都の東寺を与えられた。
空海は825年から講堂を建て始めて、その中に大日如来を中心とする21体の仏像による立体曼荼羅をつくる。
講堂の真ん中に、大日如来を中心に五体の如来、右側に金剛波羅蜜菩薩を中心として五体の菩薩、左側に不動明王を中心に五体の明王、そのまわりに梵天と帝釈天、四天王が配置されている。
空海が『金剛頂経』『仁王経』などをもとに、独自の発想で創作したもので、他の国にはないものとなっている。
839年に立体マンダラは完成して開眼供養が行われたが、835年に空海は入定していた。
東寺の講堂では、現在でも立体マンダラはほぼ常時拝観することができる。
その大きさに圧倒されるとともに、心の世界が広がり、安らぎが得られる。
いずれの立体マンダラも、ユングと空海の精神、宇宙観などをあらわして生き続けている。
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