最近NFT (Non- Fungible Tokenの略) が新聞やテレビでも報道され注目されている。
非代替性トークンと訳されているが、わかりにくい。つまりデジタル証明書つきの1点もののデジタル作品(資産)のことである。
まだ『図解ポケット デジタル資産投資 NFTがよくわかる本』(松村雄太、秀和システム、2022年2月)、『60分でわかる! NFTビジネス入門』(森川ミユキ著、弁護士法人GVA法律事務所Web3.0チーム監修、2022年4月)の2冊を読んだだけである。前書の著者松村雄太はサイト「Web3総合研究所」 を運営して情報などを提供しているので便利である。
2021年はNFT元年といわれている。
たとえばアートでは2021年3月に世界最大のオークション「クリスティーヌ」でデジタル作家のビープルが制作した「毎日…最初の5000日」が約75億円(6935万ドル)で売れて大きな話題となった。同氏が13年半にわたって制作した作品をコラージュしたものである。
Twitterの創始者ジャック・ドーシーが2006年3月21日に初めてツイートしたセリフは、2021年3月に競売されて約3億円で落札された。ただし1年後には100万円でも売れなかったようだ。
2021年4月5日にはゲーム「ザ・サンドボックス」の仮想空間上の土地をNFTで販売したところ、33区画が出品開始から3秒で完売したという。
NBAのバスケット選手がスラムダンクを決めるビデオ、音楽アルバム、アイドルグループの動画が組み込まれたNFTトレーディングカード(トレカ)など、高値で取引されているという。
その他、仮想空間(メタバース)のアバター(分身)、ファッション、会員権、金融、不動産など、多ジャンルでNFTがつくられ始めて広がっている。
しかし、すべてが高値で売れるというわけではなく、高値で売れることもあるというのが正しいようだ。いずれにしても今まで価値があるとは思われなかったことに、新たな価値を生み出しているのはすばらしいことである。
特にアメリカはNFTの先進国で、発想のユニークさや豊かさに驚かせられる。NFTのもとになるデータはなんでもかまわず、売れそうなものにこだわる必要もないという。
共通しているのは、ブロックチェーン(分散型台帳)の技術を利用してデジタルデータを入れた証明書をつくることである。
NFTマーケットプレイスで一番有名なのはアメリカのOpen Seaである。暗号資産界では広く普及しているウオレット(財布) MetaMask を活用して、NFTを作成して出品するのがいいという。
売買する仮想通貨(暗号資産)イーサリアムの場合は1回数千円のガス代(手数料)がかかるが、Polygon Networkの場合は無料なので、初心者にはPolygon Networkがお薦めのようである。
他のNFTマーケットプレイスに、Rarible、Foundation、BinanceNFTなどがある。
日本国内で初めてのマーケップレイスはCoinchekNFTである。売買する通貨は仮想通貨(暗号資産)が主であるので、Coincheck(コインチェック)口座を事前に持っておくと売買のときに便利なようだ。
他に、国内初のアーティスト登録制のnanakusa などがある。楽天がスポーツエンターテインメント、DeNAやLINE NFTなども始めたばかりで、インスタグラムでもNFTを扱い始めるという。なお、世界で初めて日本円決済ができるmiime(ミーム)などもある。
日本の場合、Twitterなどで見る限り、絵を描くことの好きな若者によりゲームやメタバース(仮想空間)などで使われるキャラクターが多数描かれ始めて、NFTマーケットで売られているようだ。
しかし、描けば売れるという状況ではなく、買い手の数がまだ多くはないようにも見受けられる。日本では娯楽性の高いジャンルなどで始まったばかりで、まだ広がりや多様性に欠けるようにも思われる。
ましてや社会性のある「作美アート」のような文字の作品はほとんどないように思われる。
ネットギャラリー両界堂の作品は若い人より青年や成人向けであり、NFTとしてマイナーである。
日本国内でも作品は販売していくが、海外の人に買っていただくことにも力を入れるのがいいように思われる。
海外のNFTマーケットプレイスに出品することは、日本の文化・芸術の紹介にも役立つことになる。
最近は、日本のことに関心を持つ外国人が多くなっている。日本人の想像以上に日本のさまざまなジャンルのことに関心を持つ人が多くなっているので、売れる可能性はあると思われる。
絵の作品(和美アート)と文字の作品(作美アート)のうち、海外の人に共感してもらいやすい作品としては、まず第1段階として絵の作品(和美アート)であろう。
その後、第2段階として、文字の作品(作美アート)を出品してみたい。文字の作品の場合は翻訳する必要がある。
ホームページをつくるソフトWordPressに「Google翻訳」をプラグインすると、コンテンツの翻訳にも利用できるようなので、英語に強いとはいえないが、トライしてみようと思っている。
単に翻訳するだけではなく、対訳、あるいは日本語と英語をミックスさせた新しい作品などもつくることができるというアイデアが浮かび始めている。
先日、「美術手帳」 2021年12月号で「NFTアートってなんなんだ?!」という特集をしていたことを知ったので、アマゾンに注文した。近々、届くので、次回のブログであわせて書いてみたい。
2022.6.15