ネットギャラリー両界堂 四天王寺の世界史的な意義
[ 作品 2-9 ]

四天王寺の世界史的な意義

奈良の法隆寺は世界一古い木造建築として世界遺産になっている。建築史、美術史、仏教史においても価値があり、多くの人々に関心を持たれている。
小野妹子が遣隋使として派遣された607年に、聖徳太子により父親の用明天皇の菩提を弔うために創建された。
670年に燃えてしまい、現在の法隆寺は天武・持統朝(673~697)に着工、和銅年間(708~715)に再建されたとみられている。

一方、大阪の四天王寺も聖徳太子によって593年に創建された一番古い官立の寺院であるが、7度燃えたため、そのたびに建て直されてきた。
関東などでは知名度は率直に言って、法隆寺より低いように思われるが、法隆寺とは異なる意味で、世界史的な意義が二つある。

一つは、戦争で戦った敵、物部守屋などをまつった祠(ほこら)が建ててあり、毎年7月3日には法要をしていることである。
祠は聖徳太子をまつる聖霊院の奥殿のそばにあり、現在でも物部氏の末裔がお参りに来ているという。
敵だった守屋をもまつり菩提を弔うということは「和の精神」を実現したものといえるが、この約1400年以上前から実践されている方法、知恵を現代人も学びたい。

たとえば靖国神社では日本のために命を捧げた官軍や軍人などの御霊が中心にまつられている。
靖国神社には本殿の南側に鎮霊社という祠(ほこら)がある。昭和40(1965)年に筑波藤麿 第5代宮司(1946~1978)によって建立された祠である。
嘉永6(1853)年以降の事変・戦争に関係して亡くなって本殿にまつられていない日本人の一座と、亡くなった世界各国の外国人の御霊一座をまつっている。

前者に会津藩の白虎隊や西南戦争で自決した西郷隆盛らも含まれると解釈・説明されることがある。しかし、明確に賊軍や敵国であった中国などの人々の霊をまつっているとは説明されていない。

第11代の宮司になった徳川康久宮司は第15代将軍の徳川慶喜の九男の孫である。在職中に、そろそろ靖国神社に賊軍もまつるようにしてもいいのではと発言して、関係者から批判され辞任した。
徳川宮司と対談した国会議員であった亀井静香は賛同して、靖国神社創立150周年記念(2019年)企画としていいのではと判断し、署名活動を行うとともに崇敬奉賛会の扇千景会長にもちかけたが実現はしなかった。

靖国神社は四天王寺を見習って、日本の賊軍だけではなく、世界の敵軍の菩提を弔うようにするのがいいのである。
それがしていないから、死者の怨霊というより現在の生者の憎悪(怨霊に近い)が現われてしまうのである。

戦争をノーサイドにするためには、日本だけが敵国の霊をまつるのではなく、中国、韓国・北朝鮮、アメリカ、イギリスなど各国でも行なってもらうのである。
これからの戦争の終結、和解の条件には味方の霊をまつる場所の近くに、敵国の霊をもまつり菩提を弔うという「四天王寺方式」を、お互いに実行することを入れるのがよい。

もちろん、イスラム諸国でも各宗派、各国でしてもらい、すべての国でも実行できて、テロや戦争をせず平和な国になったとき、人間の精神、知恵が進化したといえる。

二つめは、四天王寺では後から創立されて発展した宗派の開祖をまつり、毎年供養していることである。
最澄(6月4日)、空海(3月21日)、法然(1月25日)、親鸞(11月28日)、一遍(8月23日)、日蓮(10月13日)、この六人に禅宗の栄西(7月5日)と道元(9月29日)を加えた日本仏教八宗の祖師の命日(かっこ内)に、四天王寺では講堂で現在でも法要を行なっている。

このことは、四天王寺を4回目にお参りしたときに知り感動した。
聖徳太子の月命日の8月22日に、講堂の中央に一遍上人が描かれた軸がかけられていたので、なぜかと思い、講堂にいたお寺のスタッフの女性に質問をしたところ「明日の一遍上人の命日の法要のためです」と答えられて、そのときに八宗の祖師の命日のことも教えてくださり知ったのである。
親鸞が聖徳太子のことを「和国の教主」と讃えたことが納得できた。

自派の開祖、祖師をまつるだけではなく、他宗派の開祖をまつり供養をするという「四天王寺方式」を仏教だけではなく、キリスト教やイスラム教を含めて世界の宗教に訴えかけて広げていくことが必要になっている。

自分の宗教、宗派だけが唯一正しいという狭い考え方をしている宗教者や信者がほとんどである。
地域や風土、歴史、文化、言語などの違いによって教義体系や儀式などが異なる宗教・宗派ができているだけで、深層心理学的に見れば「宗教的真理」は一致しているのである。
このことに気づく人がほとんどいないのは残念である。さらなる人類の精神の進化が必要であろう。

宗教対立を避けて、なくすためには、まず、キリスト教、イスラム教など、各宗教の中で宗祖・聖人をまつりあい、他宗派のために祈り、他の宗教間でも教祖・聖人をまつりあい、祈りあうことを広げることが必要である。

四天王寺は1400年以上前の聖徳太子の「和の精神」を今でも実践している寺院であり、二つのの「四天王寺方式」には世界史的な意義があるのである。

2022.10.1

 

次の3作品が、スマートホンなどのサイト「まんが王国」で3月25日からみられます。
『深層心理学のレジェンド ユング』石田おさむ
『精神分析のレジェンド フロイト』石田おさむ・画, 細山敏之・作, 福島章・監修
『近代科学のレジェンド ニュートン』石田おさむ・画,  千崎研司・作,渡辺正雄・監修
各作品名をクリックすると、各画面がみられます。

TOP