
胎蔵界の大日如来 慈悲
如来とは真理に到達して悟りを開いた仏のことである。大日如来は密教の最高仏で、胎蔵界の曼荼羅の中心に描かれ、「偉大なる光の如来」という意味がある。その力は太陽をしのぎ宇宙全体に及ぶ。
最高の悟りを示す法界定印を結んだ大日如来は、慈悲の世界である胎蔵界をつかさどっている。
胎蔵界の大日如来の教えを説いた『大日経』は7世紀ころにインドの東部でつくられた(諸説あり)。
われわれは大日如来の大きな生命を生み出すエネルギーの流れの中で、命をはぐくむ大きな慈しみ、慈悲の中で生命を与えられて、生かされて生きているのである。
それを実感できたときに生命力とともに大きな安心感が得られる。宇宙、生命の根源を感じることでパワーを得て、心のリセットができて生きていけるのである。
密教では「即身成仏」という言葉がある。「この身このまま仏である」ということである。われわれは大日如来から生まれているので、人間、自分は大日如来の一部で一体なのである。
大日如来は外だけではなく、自分の心の中にもいるのである。大日如来とは真の自己のことでもあり、深層心理学者ユングのいう人類に普遍的な無意識でもある。
「即身成仏」だけではなく「即心成仏」ともいえる。密教の教えと深層心理学とは深い関係がある。
われわれはすでに心身とも救われていることに気づくことが大切である。
胎蔵界の大日如来を礼拝し念じる真言は「ノウマク サンマンダボダナン アビラウンケン」である。
真言とは「真実の言葉」の意で、サンスクリット語(梵字)の「マントラ」のことである。
意味は「胎蔵界の大日如来に帰依します」あるいは「大日如来よ、永遠のいのちを与え、悟りにみちびきたまへ」という意味である。
「ノウマク サンマン~~」では意味がわかりにくいし、覚えるのも大変である。
浄土宗や浄土真宗では日本語で「南無阿弥陀仏」と唱える。また日蓮宗では「南無妙法蓮華経」と唱えるように、真言を「南無胎蔵界大日如来」あるいは「南無大日如来」と日本語で唱えることを提唱したい。
意味がわかりやすく、イメージも明確になり実感できるようになるからである。
たとえば10度唱えながら、大日如来と一体であること、大日如来のエネルギーを得て、生命力がよみがえってくることをイメージして感じるようにするといいであろう。
朝起きたとき、あるいは通勤・通学のとき、あるいは夕方、あるいは寝る前、ベットに入ったとき、眠れなくなって起きてしまったときなど、いつでもどこでも、「南無胎蔵界大日如来」あるいは「南無大日如来」と唱えるとよい。
「即身成仏」を実感して、安心感、充実感が得られるであろう。
参考の本:
『伝真言院曼荼羅』真言宗総本山東寺監修、小久保和夫、サンブライト出版、1978年『密教図典』宮坂宥勝・金岡秀雄・真鍋俊照、筑摩書房、1980年
『密教瞑想と深層心理』山崎泰廣、創元社、1981年
『秘密の庫を開く 密教経典=理趣経』松長有慶、集英社、1984年
『曼荼羅のみかたーパターン認識』石田尚豊、岩波書店、1984年
『目でみる仏像・如来』田中義恭・星山晋也、東京美術、1985年
『目でみる仏像・大日/明王』田中義恭・星山晋也、東京美術、1986年
『高野山真言宗 檀信徒必携』新居佑政、高野山真言宗教学部、1988年
『密教』頼富本宏、講談社現代新書、1988年
『曼荼羅の宇宙』 (「日本美を語る」第4巻) 杉浦康平・濱田隆編、ぎょうせい、1989年
『密教の本』学習研究社、1992年
『図解 曼荼羅の見方』小峰彌彦、大法輪閣、1997年
『真言密教の本』学習研究社、1997年
『うちのお寺は真言宗』総監修/藤井正雄、双葉社、1997年
『天台密教の本』学習研究社、1998年
『[図解]密教のすべて』花山勝友監修、光文社文庫、1998年
『真言宗のお経』監修/山田一真・大塚秀見、双葉社、2000年
『国宝東寺』講堂諸尊修理完成記念、真言宗総本山東寺、2000年
『東寺』(週刊 古寺を行く3) 小学館、2001年
『梵字でみる密教』児玉義隆、大法輪閣、2002年
『前田常作展―マンダラへの道』神奈川県立博物館他編集、毎日新聞社、2002年
『空海と高野山』(弘法大師入唐1200年記念)京都国立博物館・東京国立博物館、2003年
『密教とマンダラ』頼富本宏、NHKライブラリー、2003年
『すぐわかるマンダラの仏たち』頼富本宏、東京美術、2003年
『印と真言の本』学習研究社、2004年
『両界曼荼羅の誕生』田中公明、春秋社、2004年
『曼荼羅グラフィクス』田中公明、山川出版社、2007年
『楽しくわかるマンダラ世界』正木晃、春秋社、2007年
『マンダラの謎を解く』武澤秀一、講談社現代新書、2009年
『空海 塔のコスモロジー』武澤秀一、春秋社、2009年
『空海と密教美術展』東京国立博物館、2011年
『NHKこころの時代 マンダラと生きる』正木晃、NHK出版、2018年
『特別展 国宝東寺―空海と仏像曼荼羅』東京国立博物館、2019年
2022.10.1
講談社で電子書籍化されました。
『マンガ ユング深層心理学入門』石田おさむ
『マンガ フロイトの「心の神秘」入門』 石田おさむ=画、細山敏之=作、福島章=監修
『マンガ ダーウィン進化論入門』 瀬口のりお=画、田中裕=作、渡辺正雄=監修
以上は、10月14日から配信。
『マンガ ニュートン万有引力入門』 石田おさむ=画、千崎研司=作、渡辺正雄=監修 10月21日から配信。
『マンガ 誰にもわかる人間アインシュタインと相対性理論』 山崎キクオ―=画、千崎研司=作、渡辺正雄=監修 11月4日から配信。
なお、下記の「まんが王国」から配信されている作品は、上記の本を改題したものです。
次の3作品が、スマートホンなどのサイト「まんが王国」で3月25日からみられます。
『深層心理学のレジェンド ユング』石田おさむ
『精神分析のレジェンド フロイト』石田おさむ・画, 細山敏之・作, 福島章・監修
『近代科学のレジェンド ニュートン』石田おさむ・画, 千崎研司・作,渡辺正雄・監修
各作品名をクリックすると、各画面がみられます。