
聖徳太子と親鸞
聖徳太子
聖徳太子(574~622)の孝養像は、587年数え14歳のときに父の用明天皇が病気となり、日夜看病し香炉を捧げて病気平癒を祈ったときの姿である。残念ながら、この年に用明天皇は亡くなった。
浄土真宗では本尊阿弥陀如来のわきに聖徳太子の孝養像をまつることが多い。
親鸞は聖徳太子が創建した四天王寺や法隆寺、磯長陵のある叡福寺、京都の六角堂頂法寺などを訪れるなど、他の宗祖よりいっそう聖徳太子に強い関心をもっていた。
親鸞は聖徳太子を「和国の教主」と高く評価し、聖徳太子の和讃を多くつくっている。
四天王寺には親鸞の銅像と見真堂があり、現在でも毎年、親鸞の命日11月28日に講堂で法要が行なわれている。聖徳太子の廟がある叡福寺には親鸞が88歳のときに自ら彫ったといわれる木像が見真大師堂の中に安置されている。
聖徳太子は法華経を重視しながら、在家の教えである維摩経と勝鬘経(しょうまんきょう)を重視していた。維摩経は在家の維摩居士(ゆいまこじ)が仏道を実践し、僧以上の活躍をする内容である。
維摩居士や聖徳太子など在家の人間でも仏道を実現できるということは、親鸞に大きな影響を与えた。
勝鬘経は釈迦の前で王妃の勝鬘夫人が大乗仏教の教えを説き、釈迦が正しいと認める内容で、在家仏教の重要な経典である。
親 鸞
平安時代末期に京都に生まれた親鸞(1173~1262)の意義は、阿弥陀如来の本願を信じて「南無阿弥陀仏」と唱えれば、阿弥陀如来に救われるという絶対他力を説いたことである。
それと戒律にとらわれずに妻帯して、「在家仏教」を広めて浄土真宗を開いたことである。
親鸞は9歳のとき慈円の弟子となり、京都の青蓮院で得度した後に、比叡山に登った。慈円は『愚管抄』の著者で、天台座主や四天王寺の別当もつとめた。
親鸞は比叡山で20年間修行するが、慈円や天台系の太子信仰の影響で、若いころから聖徳太子にゆかりのある寺院に行っている。四天王寺には1191年(19歳)や1199年(28歳)にも参詣し、聖徳太子真筆の法華経や勝鬘経をみたという。
1191年には法隆寺にも行った後、聖徳太子の磯長陵(しながのみささぎ)の廟に3日間の予定で参籠している。このときは夢告で、あと10年の命といわれている。
重要なのは親鸞が、聖徳太子が創建した京都の六角堂頂法寺(現在、華道家元の池坊がある)に1201年(29歳)百日間の予定で参籠したとき、95日目に聖徳太子が如意輪観音となって夢に現われ95日目で終わりにして、法然を京都の吉水に訪ねて弟子となったことである。
法然の「南無阿弥陀仏」を聞いて、真の信心が芽生えた。
1204年比叡山から法然門下のふるまいに対し警告が出され、1205年には興福寺から念仏禁止などの訴状が朝廷に出された。
1207年(35歳)には弾圧を受け、法然は四国の讃岐、親鸞は越後に流罪になり、藤井善信の俗名を与えられる。自らを僧にあらず、俗にあらず愚禿(ぐとく)親鸞と自称し、恵信尼と結婚した。
1211年に親鸞は流罪を許される。翌年1月25日に法然が80歳でなくなったとの知らせが届いた。
1214年42歳のときに妻子と関東へ行き、常陸国(茨城県)の小島や稲田などで、約20年間布教をする。1235年63歳のときに京都に帰り、著作活動に励み、90歳まで生きた。
親鸞は法然の弟子となったが、聖徳太子の弟子でもあったといえるほどに太子から大きな影響を受けている。親鸞の浄土真宗は法然の教えだけではなく聖徳太子との縁をもとにつくられたといってよい。
参考になる本など:
『聖徳太子の本』 学習研究社、1997年
『和Communication 四天王寺』 和宗総本山四天王寺、第753~755号(2013年1・2~5・6月)
『磯長山・叡福寺 日本人の心の原点・聖徳太子』 磯長山叡福寺、2021年
『親鸞と聖徳太子』島田裕巳、角川新書、2018年
『歎異抄』金子大栄校訂、岩波文庫、1931年
『教行信証』金子大栄校訂、岩波文庫、1957年
『歎異抄』梅原猛、講談社学術文庫、1972年
『親鸞和讃集』名畑應順校注、岩波文庫、1976年
『親鸞 生涯と教え』中川皓三郎監修、真宗大谷派宗務所出版部、2010年
『特別展 法然と親鸞ゆかりの名宝』東京国立博物館、NHK,朝日新聞社他、2011年
『法然 親鸞 一遍』釈徹宗、新潮新書、2011年
『梅原猛の仏教の授業 法然・親鸞・一遍』梅原猛、PHP文庫、2014年
『親鸞「四つの謎」を解く』梅原猛、新潮文庫、2017年
2022.8.1
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